月にむら雲、花にあらし【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】
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月にむら雲、花にあらし【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

こめり

雲も嵐も無い穏やかな二人

ネタバレ
2021年2月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 美大で出会った二人が、友達から親友、そして恋人となるお話。売り出し中の日本画家・鶴間は、高校の美術教師の三木に、学生時代から何度も付き合ってくれと告っていましたが、その度に三木にかわされていました。ついに10回目の告白時に、三木は「友達のつもりでいるなら、もう来るな」と鶴間から言い渡されてしまいます。不器用で一途な芸術家肌の鶴間と、育ちの良い明るいボンボン・三木との付き合い始めての1年間が、出会ってからの回想を織り交ぜながら、京都の四季とともに丁寧に描かれます。鶴間が学生時代に初めて賞を取った珊瑚色の三木の画、10年間に描きためられた三木のクロッキー、そして鶴間しか知らない起き抜けの夢の中にいるような三木の画、どれも描かずにはいられない鶴間の画家としての性分とともに三木への真っ直ぐな想いが伝わってきます。
日本画あるあるや、京女らしい三木のばあちゃんのカッコ良さも読みどころです。
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