真夏のサイレン
」のレビュー

真夏のサイレン

櫻川なろ

10年後まで響くサイレンの余韻

ネタバレ
2021年2月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 夏休みのある日、仲の良い高校生4人がキャンプに行き、そのうちの一人が吊り橋から転落死してしまいます。転落した優弥は、その直前、3人のうちの誰かにこの後告白すると宣言していました。皆で約束した時間になっても優弥が現れない渓谷に、事故を知らせるサイレンが鳴り響き、物語がスタートします。10年後に再会した残る3人が、あの日何があったのか、優弥が告白しようとしていたのは誰だったのか、その死は本当に事故だったのかを一晩かけて話し合います。しっかりものの崇文、心優しい春海、やんちゃな遼、そして謎めいた優弥。4人でいつも一緒にいたのに、それぞれの知る優弥が全く違う顔を持っていたこと、4人各々の恋愛感情や嫉妬、対抗心、思春期特有の自尊心などが一章ごとに明かされゆき、同時にそれぞれの疑心暗鬼も明らかになってゆきます。ミステリの妙味をじっくりと味わえる作品で、読後感も良かったてす。
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