このレビューはネタバレを含みます▼
「ハレの日」で胸を鷲掴みにされた作家さん。今作は2つのお話が入っているのですが、どちらも独特でありながら救いのある素敵なお話でした。
1作目は、カルト宗教に洗脳された青年に神父が手を差し伸べるお話ですが、青年の純粋で無垢な姿と神父の葛藤というコントラストが実に見事でした。最初こそ助けたい一心で青年に心を寄せる神父は信仰が根底にあるんだけど、徐々に違った方向に向きつつある気持ちは信仰に背くもので‥。一方、カルト宗教から解き放たれた青年が神父へ向ける実直な想いが眩しくて、その2人の対照的な姿に切なくなってきました。
2つ目は、人付き合いの苦手な花屋が花に変身してリーマンと生活する不思議なお話。ですが、2人の心の距離が近づいた矢先の突然の別れに一瞬胸が締め付けられ息を呑みました。
どちらも作者ならではの視点と世界観に溢れていて、読み終わってからふぅと深呼吸したくなるほど引き込まれます。是非ストーリー重視の方にオススメしたい作品です。