このレビューはネタバレを含みます▼
表題作は112ページ。短編より少し長いくらいで、ともするとサラリと読み終わってしまいます。けれど、読み終わった後、じわじわと胸が苦しくなります。表紙の赤い糸、葉月の指には結ばれているけれど、郁の指には絡まっているだけで、するりと抜けてしまいそう。もちろん、郁が死んだままであれば触れることは叶わない。けれど、生きていても、どんなに恋い焦がれても、相手も好いてくれても望んでくれても、応えてはいけない、触れてはいけない。きっと、赤い糸はするりと抜けてしまうのです。祠の主は、その過程を見ながら、さぞ楽しむことでしょう…。辛い。