ラスト・オメガバース【単行本版(電子限定描き下ろし付)】
晴川シンタ
このレビューはネタバレを含みます▼
オメガバース創世を描いた一ノ瀬ゆま先生の「神様なんか信じない僕らのエデン」を読み、いたく感動し、相互レビュアーさんと「それならば人類最後のオメガバースも読んでおこうではないか」という話になり、教えていただいたこちらを早速読んでみました。αとΩが絶滅して百年後、突然変異で生まれ、生きづらさを抱えているαとΩが出会うところから物語が始まります。
世界でたった二人、最後のオメガバースという設定は斬新で最高ですし、この出会いの瞬間が見開きで描かれるのですが、セリフ一切なしで素晴らしいです。
でもだからこそ、惜しいと思ってしまいます...もっともっとドラマチックにできたはずでは。。。
お互いの気持ちが本能か恋愛感情かで延々悩むわけですが、自分のバースの特性を否定し続ける姿は見ていると悲しくなってきます。気持ちはわかるけど、、、同じ悩みを共有できる世界でたった二人しかいないかけがえのない存在なわけですから、もうそこは出会えた事が運命でいいじゃん!
いつまでも受けがぐずぐずしてるから、愛の証明のために攻めが薬でその特性を消そうとするなんて...ひどいよ。。。結局バースは失われませんでしたが、二人の間に子供ができることはなくなりました。私は子供が欲しくなかった人ですが、そんな私でも、二人の関係に「妊娠のリスク」という言葉が複数回使われているのには切ない気持ちになりました。かわいそうだよ...
壁である私だけは、彼らのバースを否定しないであげたい。願わくば、作者さまもそうであってほしい。
まあ最後は前向きなハピエンなので良いのですが、もう少し別の角度でのドラマ性が欲しかったです。
ああ、惜しい、設定がもったいない。。。
設定と冒頭シーンの素晴らしさを加味して、星4つでお願いします。は〜、勝手なことばっか言ってごめんなさいよ。期待しすぎちゃった!
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