半壊の花【シーモア限定特典付き】
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半壊の花【シーモア限定特典付き】

早寝電灯

味わう、という感覚の話が詰まっている

2021年3月28日
えも言われぬ深い余韻がある作品が次々入っていて、才能の豊かさにびっくり。うまい人が出てきたものだ。話の中にある、自在に飛ぶ時間や空間にぶつ切れ感なく入らせてもらって、キャラのたどった感覚を共有した気にさせられてしまう。登場人物の記憶や眼を通したエピソードが、回想とも現在からのトリップとも分けられない感じで表され、心象風景の絵的な表現を感じる。多分、語りの引き込み力が強いために、ストーリーの設定はそれほど特異でないのに、特異な存在感をどの作品も纏う。適度にチクリともどかしく切ない。BL設定を生かしているが、そういう臭みを脱臭させたような感覚を私は抱いた。

コマは、その枠の線は太めに主張し、各頁凝りすぎずに配置、個々のくっつき方、或いは離れ方(間隔)にも見せ方への工夫があるようだ。その太めの枠のラインの分量も入って、白黒バランスが作品の安定感にも繋がっている感じだ。

人物の顔などには少しブレを感じる。
語りのセンスがいいので忘れさせてくれる。
何を絵にして見せてくれているか、そこが巧みなのだと思う。イントロダクションもエンディングも、切り取りかたが語りすぎず取捨選択され、ドラマ作りを知ってる人、という感じだ。

星数は期待値が含まれている。
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