いろごとセラピー【電子限定ショートストーリーつき】
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いろごとセラピー【電子限定ショートストーリーつき】

碗島子

極上SM

ネタバレ
2021年4月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ プレイとしてではなく、人生まるごと囲い込みSM。昔一冊の小説に出会い、奉仕型SMというものがあることを知りました。マルキドサドの描いた世界から、この現代でここまでサドマゾを題材とする作品の裾野が広がったかと思うと感慨深い。きっかけは傘。母親との関係や勤務先での立場から、感情に巻き込まれないよう「自分は強い」と暗示を掛けながら生きる銀行員。その銀行員の自傷行為をあざとく見付け、間髪置かず「自分のもの」として認識した、画家の特有の嗅覚。先ずは大きな箱に入れ、貴方は貴方の意思でというスタンスは崩さず、箱を少しずつ小さくして獲物を落としていく。代替の快楽や言葉を与え、銀行員に自らの足で踏み込ませるプロセスを踏む。この世界観のメインに若い世代を据え置くことで、こんなにも新しい。
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