このレビューはネタバレを含みます▼
BLアワード2021コミック部門3位「親愛なるジーン」のスピン元となるお話。内容的にはどちらから読んでも繋がりますが、私は、こちらから読んだ方が「親愛なるジーン」がより染みると思います。「ラムスプリンガ~」の方がライトな感じで流れるので、「~ジーン」を読んでからだと温度差を感じるかもしれません。で・す・が!「ラムスプリンガ~」も本当に素晴らしくて、ラムスプリンガを謳歌するコメディタッチなところも楽しめるし、瞳が訴えかけてくる本気の場面、瞳に吸い込まれるシリアスな場面には、言葉も出ません。敬虔なアーミッシュの一生を左右するラムスプリンガの岐路に立つテオの顔つきは、迷いがなく、とても美しいと思いました。故郷を捨てることになっても、二度と愛する家族や友に会えないと分かっていても、テオが涙を流さなかったのは、自分で後悔しない生き方を選んだからなのだろうなと思うと、胸が詰まります。実は、最初に表紙を見た時には、絵や雰囲気が好みじゃないかなとスルーしてしまったのですが、レビューを読んで購入を決めたことを覚えています。描かれている年代や土地にとても合っている絵で、むしろリアルさが増しました。そして、何度も書いてしまいますが、瞳が好きです。