このレビューはネタバレを含みます▼
ゾンBLってCPがゾンビから逃げたり戦ったりするものだと思ってました。シリアスなゾンビものなのでハピエンではありません。せつなくて物悲しい純愛でした。3CPのお話があって、初めのCPが1番心に残りました。ゾンビから逃げて車に乗り込んだウィリアムは車の持ち主のアダムに連れられてゾンビの少ない地域に逃げます。最後まで読むとアダムが元恋人に似たウィリアムをゾンビから守ろうとしていたことやストックホルム症候群とも言えるのかもしれませんが、ウィリアムがアダムを一人でいかせられなかったことがわかってなんとも痛ましくなりました。全編通して滅びの美学というか殉愛というか、胸にズシリときました。必ずもう一度読みたくなります。ホクロやピアス、服装を見、それからカバー下でこの本がなんだったのかわかって、作者様のギミックがちりばめられていたことに気づきました。2021年のBLアワード、表紙デザイン部門第6位ということですが、中も画力が高くてグロテスクな表現が凄いです。普通のBLとは違ったものを読もうかなと思われたら是非どうぞ。オススメです。富田童子先生の物語をまた読ませていただきたいです。どうか届けてくださいますように。
2020年12月 総198ページ 修正=見えない構図。