理想の肖像
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理想の肖像

ベッキー・ブラック/冬斗亜紀/門野葉一

ゲイの現実に向き合う

ネタバレ
2021年4月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 短編です。救命士アンドリューと記者ポールのお話。
物語前半は、2人が出会うきっかけとなったある悲惨な事故現場の臨場感溢れる内容に釘付けになるのですが、後半からゲイそのものに焦点が当たって趣が変わってきます。ゲイである事を家族にも周りにもオープンにしているアンドリューに対してポールはクローゼット。その立場の違いや生き辛さなどが描かれていたり、何度となくレインボーフラッグという単語が出てくるのも今時で現実味がありました。
アンドリューの価値観に触発され、またクローゼットゆえの悩みから解放されたいとポールは勇気を持って自分自身や社会と戦う事を決意して物語は終わるのですが、これを読むとやっぱり生きづらいんだなというのが実感できます。今もどこかで戦っているかもしれないゲイの人に思いを馳せる内容でした。イラストも作品に合っていて素敵でしたよ。
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