このレビューはネタバレを含みます▼
以前、フォローしている方のレビューで「しのぶれど」を知って、先にそちらを読み、昭和初期の陸軍幼年学校・士官学校に学ぶ桐島と高橋のお話を楽しみました。その後、同じくフォローさんのレビューで、この「白の無言」を知りましたが、そのレビューが、もはや一つの物語のようでした。そして、あまりにも辛そうな結末に、読む勇気を持てなかったのですが、先日、期間限定の「麗人」で読ませてもらって、どうしても「兄」(厳密には叔父?)の話も読みたくなり、単行本も購入しました。本編も、兄の話も、すぐにレビューを書けないくらいショックでした。ある程度覚悟していても、です。「しのぶれど」の2人を知っているから、なおさらです。桐島は、高橋の前でも「聖セバスチャン」でした。でも、会えないままに知った桐島の答えは、国家ではなく高橋。この答えに、高橋は救われたのではないかと思いました。もちろん桐島は返りません。そのことに嘆き悲しみ後悔もするのだと思います。でも、高橋は、その桐島の答えを生きる糧とするのだろうなと思いました。
源平の頃を描いた「紅蕾」もとても好きでした。「古痕」の桐島もそうですが、このお話も、泣きたいのをこらえていかねばならない男の悲哀と強さがありました。そして、美しさと。「耽美」とは、こういうのを言うのですね…。
桐島と高橋の結末は、辛すぎますが、私は読んで良かったと思いました。フォローさん、レビューありがとうございました。