カストラート
」のレビュー

カストラート

露がも子

題材にとても興味を持ちました

2021年5月2日
とても興味深い題材で、カストラート(去勢歌手)を知る上で良作だと思いました。3編入っていますが、2編は音楽院の寄宿学生のお話(カストラート生と作曲を学ぶ寄宿生、カストラート生同士)で、最後の1編は領主夫婦と妻の愛人カストラートのお話です。特に、2編目のミケランジェロとルチアーノのお話は、カストラートの光と影の部分がよく表されていました。去勢手術をしても、皆がカストラートになれるわけではなく、ほんの一握り。その一握りの、天使ともてはやされるミケランジェロとルチアーノを怪物と言うステファノは、当時では珍しい感覚だったのかもしれないです。元々は、教会内で女性が歌うことを許されなかった(声を発することさえ許されなかった)ことが背景にあるようで、偶発的に睾丸を失ったボーイソプラノ歌手が発端で、その後、意図的な手術が行われるようになったそうですが、カストラートを怪物と称するのであれば、カストラートを作り出そうとする大人たちは悪魔だなと思いました。そのように、ものすごーく深みのある題材なのですが、少し物足りないなと感じてしまいました。BLジャンルとして体の触れ合いがないからとかではなくて、私の感覚的なものだと思います。あと、他の方も書かれていますが、セリフの言い回しとか言葉がちょっと分かりづらいところがあります。
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