偽りの王子と黒鋼の騎士【特別版】(イラスト付き)
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偽りの王子と黒鋼の騎士【特別版】(イラスト付き)

六青みつみ/稲荷家房之介

素晴らしい長編ファンタジー

ネタバレ
2021年5月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 長編ですが舞台設定がしっかりと作り込まれており、脇の登場人物たちも魅力的で、全く飽きずに読めました。なんとなく中世のヨーロッパを想像しながら読みました。ここまで細部に拘って舞台背景を描いて下さるBL作家さんはなかなかいないと思います。美麗な挿絵も素晴らしかった。
六青さんの作品が好きなので、不憫すぎる境遇の受けも大好きです。今作のシオンは最初こそ性格は悪いのですが、すぐに健気な可愛い受けになるので問題なく、むしろ攻めのグレイルの性格の方がキツすぎて難ありでした。恋愛を知らず不器用なのはいいとして、前半の受けへの言葉や仕打ちが人としてちょっと酷すぎるかなと。それでも両片思いで拗れまくりの2人には萌えました。
気になったのが、最後まで水鏡の存在があまり明かされていないことと、シオンは贋の王太子として追放されたのに総督側近としてまた宮殿に出入りするのってアリなのか?と思ったり。ロッドバルトに征服されてからのローレンシアの政情が詳しく描かれていなくてモヤっとしました。父王の心情とか。きっと、書ききれなかったのでしょう。是非ともスピンオフが読みたいです!
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