おおきい小竹とちいさい武田
」のレビュー

おおきい小竹とちいさい武田

重い実

相手を信じる心は自分を信じる心

ネタバレ
2021年5月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 巨人の小竹は手違いで武田の通う普通校に入学します。校庭から授業を受けたり、体育の時間はプールを掘ったり、いつも大きな身体を縮めていた小竹は、いつのまにか転校していました。武田は巨人の通う高校に行き、そこで生き生きと笑い、走る小竹の姿を見るとともに、初めて二人で会話をし、お互いの恋心を芽生えさせます。人外アリのBLで、ハグすらできないのが大前提という他に類を見ない作品です。本当に好きなら、そばにいるだけでいい、身体の関係は無くても良い筈だと頭では理解しつつも、相手への想いが募るほどに身体が身体を求めてしまう。小竹には森、武田には大橋と、お互いに友人がいて、それぞれ小竹と武田の関係を知りつつキスやそれ以上の関係を持ちます。小竹を思いながら大橋に抱かれてしまう武田、そしてそれを見た小竹は姿を消してしまいます。この世界では、食べると大きなものを小さくするという木の実があり、けれどもその実を食べると1ヶ月で死ぬとも言われていました。そして、ある夏の日、武田と同じサイズになった小竹が現れます。まだ17歳の命を捨てても武田と愛し合いたいと願う一途な小竹と、17歳からの5年間を小竹の為だけに捧げ尽くす武田との純愛物語。武田を信じ切る小竹と、決して他人のせいにはしない武田の真っ直ぐさが良きです。2巻半ばからは武田への想いを拗らせた大橋×大橋への想いを拗らせた三宅との二重螺旋な恋のお話で『大橋と三宅の場合』に繋がります。
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