相愛シネマトグラフ113
」のレビュー

相愛シネマトグラフ113

波真田かもめ

作品中に漂う団地独特の空気感、好き

ネタバレ
2021年5月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 旦那さんが結婚する迄ずっと団地暮らしだった(今作の明くんの立場に酷似)のもあって、忍の弟への想いに心底じんわりしてしまい、団地の外観から外廊下や階段、やたら狭い居室、いかにも素朴で小さな公園…ひとつひとつの描写がリアルで懐かしくて、前作「青春エンドロール113」に続き終始共感し通しだった。今作のほうをより推したくなるのは、忍と夏喜の関係性が前作の純粋かつ本能全開的なものから少し落ち着いた、でもより深いものに変わった気がするから。
家族想いで、自分の夢やらやりたい事やらを突き詰めて考える時間も余裕もないままとにかく働かなければならない自身の立場を嘆くこともなく、今ある場所で精一杯将来に繋がる道を模索しようとしている忍、つくづくかっこいい。そんな忍の生き方、忍と夏喜が大事に育んできたふたりの絆、そんな諸々をノビ多くんも認めたからこその、あのエンドロールのサプライズだったのかなと。
まだまだこの先いくつも試練があるだろうけど(いつの日にかぶち当たるであろうカミングアウト問題含め)支え合いながら乗り越えていくふたりの幸せな後日談が読みたい、ください。
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