このレビューはネタバレを含みます▼
魔法使いの多く住むゲルの町外れ、長い坂の上に魔法使いのリーと見習い少年ラベルが住んでいます。物語の進行とともに、リーとラベルの関係やリーの過去が、60年前の革命と今は無きその王国を中心に明らかになり、さらにその余波は現在にまで繋がっているのでした。何度も死を重ねる度により大きな力を身につけ、長い時間を経てきたリーですが、王家への誓いによって恋愛感情を持つことができません。魔法使いの中でも最も強い力を持つリーを巡る、恋よりも強く優しく深い愛が描かれる力強いファンタジーです。3巻のクライマックス、王とリーの再会と別れのシーンが感動でした。第1話で、魔法使いになったら霞しか食べられないのが不安だと言っていた幼いラベルが、最終話では霞を食べることを1番に心がけるようになるまでに成長を遂げます。ラベルのその想いと、それを穏やかに受け入れるリーの姿に亡き王の夢は叶えられます。甘いイチャラブはありませんが、小さな使役や人型の魚達など、クスッと笑える場面や様々な魔法も楽しい読み応えのある長編です。全3巻から魔法使いのギルドの長・エイベンを軸にした外伝に繋がり、こちらでもリーとラベルが活躍します。