このレビューはネタバレを含みます▼
最初から2人の間には不思議な引力があるので安心して読めますが、彼らを取り巻く背景はやはり痛かったです。中学時代のイジメ描写はしんどかったし、絶対服従の裏社会はエグかった。逃亡劇はさらに痛々しかったけど一番面白い部分でもありました。守られる側から守る側ヘ、求められる側から求める側ヘ、全てが覆っていく緊迫感に一気に引き込まれました。甘ったれで泣き虫の路彦のままだったら好きにはなれませんでしたが、山田の力になりたい守りたいという強い思いが彼を大きく成長させたのですね。長い時間がかかったけれど、山田が自分の本当の気持ちを認めるラストは圧巻でした。擬似家族なんかじゃなく、大切な温かい居場所を見つける事ができて本当によかった。路彦の「おかえり」に泣きました。