転生領主の優良開拓~前世の記憶を生かしてホワイトに努めたら、有能な人材が集まりすぎました~
空野進(双葉社/Mノベルス刊)/rikko/モリガ コウセイ/葉山えいし
このレビューはネタバレを含みます▼
3巻まで。
マスコミが報道するようなホワイト企業というものの、表面的な知識をなぞっただけで、とっても薄っぺらな領地経営ごっこ作品でしかありません。住人ゼロの状態から、破格の労働条件で人を引き寄せ街を作っていく。元手は親の残した財産と、ピカピカな無人の街です。破壊せず人だけを殺し、跡形もなく死体を処理してくれた魔族に感謝ですが、とにかく何もかもが足りません。今日食べるものすら調達手段がありません。確かに中世並の苦しい条件で働いている人々からすれば、現代のホワイト企業の待遇はパラダイスですから、優秀な人材が集まるでしょう。
ですが、ホワイト企業がホワイトでいられるには、それらを下支えする様々な土壌が必要です。二日休むには最低二日分、何もしなくて済むストックが必要です。嫌な仕事をせずに済むには、その仕事を肩代わりしてくれる誰かが必要です。
そういうところを一歩一歩実現していく「あがき」の描写がないので、とても嘘くさい寒い作品になっています。主人公の賢しらな顔にもムカついてきたし、住民になる人達の過剰な感謝にもイラッとしてきましたので、この辺でやめておきます。
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