ワンダーラスト
」のレビュー

ワンダーラスト

柳沢ゆきお

みんな大好きノンちゃん

ネタバレ
2021年5月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「青春なんて病気みたいなもんだ」っていう言葉が作中にありますが、そういうところは確かにあるなって思っていて、身体は大人に近づいても誰かに頼らないと生きられない、頭の中ではめちゃくちゃ考えてもどうしても視野が狭くなってしまう。ヨリちゃんは命と引き換えにノンちゃんに自分を刻み付け焼き付けたのだと思います。その記憶に囚われていたノンちゃんをチャリは解放した、そういうお話だと思いました。チャリが「(ヨリちゃんが)俺みたいな馬鹿だったらよかったのに」って言ったのはヨリちゃんが考えて考えて思いつめてそういう選択にいたったことを指しているのだと思います。一読しただけでは登場人物が多くて髪は全員黒髪なのでわかりにくかったです。「早く大人になりたい」というのが口癖だったコンちゃんが描き下ろしで「もう 大人だし?」って言ってたのはすごく感慨深かったです。蒸留酒を製造する過程で目減りしたぶんのお酒を「天使の取り分」と言いますが、子供が大人になるまでに「死に神の取り分」みたいな、若さゆえに亡くなる命ってあるような気がします。ナイフみたいに尖って傷つけたい滅びたいそんな衝動。13回忌は13年ぶりじゃないんだよ、そんなことを思うオバサンにはもう遠いお話。
2012年4月 総182ページ 修正=見えない構図。
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!