ナチュラチュラリィ
」のレビュー

ナチュラチュラリィ

市川けい

上手い!すごい!面白い!

ネタバレ
2021年5月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 短編集として読んだのは、まだ2作品目ですが市川先生の短編集はお上手だなぁ、としみじみ思います。短い中にもちゃんとテーマに添って展開され、余韻を持たせながら、きれいにまとめあげています。ラストのクズ話以外は、ロングで読みたい素敵なお話で好き。
『ナチュラチュラリィ』:双子(兄妹)と兄を好きな男の子の話です。いつも一緒で、何をするのも一緒。好きな物、苦手な物、みんな一緒。双子故の神秘的な魂のつながりというのか、普通の兄弟姉妹にない心の繋がり。だんだん年を重ねていくにつれ、環境や交友関係で多少なりとも離れていくんでしょうけど、まだニコイチな二人。少し変わっているという、自覚はありそうです。兄に恋する今池の存在で、少しずつ双子の心の中に変化が現れ始め…
兄から巣立とうとする妹の涙が、切なくて胸が痛い。精一杯の思いやり。妹の心を一番わかっていた今池の優しさに涙。かなちゃんの涙がすごく刺さります。かなちゃんにも、きっとかなちゃんだけを見つめてくれる人がいるよ…
すごく好きな作品です。兄たちのその後も見たいです。
『ベランダにて』引っ越した部屋のベランダに見える幽体。どこかで見かけた顔。それは幽霊ではなく、部屋に現れた生き霊?
失った恋に未練が残り、嗚咽するように泣く姿。あぁ、市川先生の泣きの表情が、どの作品もたまらなく切ない。
気にかけるうちに、違う感情が芽生えていく心の動きが絶妙です。
実物の彼と知り合いになって、よーい、ドン!新たな恋がスタート。素敵な締めくくりです。上手い!
『カウント3632』:マンションのエレベーターで、同じフロアの二人が閉じ込められて…
ちょっと変わった小説家と、気づかいするお兄さん。二人の掛け合いがテンポ良く面白い。
閉じ込められた二人に、何かが生まれそうだけど、何に変化するのかその後がしりたいなぁ。
『ステップワン』:DK先輩後輩もの。後輩ワンコが可愛く攻めて、落ちないように防御する先輩。防御が要らなくなってしまった寂しさが…うん、いいね。一枚上手のワンコがやっぱり可愛かったです。
『テストプレイ』:恋人同士のプレイもの。◯◯ごっこで燃え上がり、新しい扉開けました。マンネリ解消したいCPには、プレイもいいかもね(笑)何やってんだ(笑)
『道連れ』:不毛な爛れた関係の二人。互いに恋人が出来たにも関わらず、再会して再燃。ちょっとクズ感が嫌な二人。
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