LOVE SONG
」のレビュー

LOVE SONG

まんだ林檎

すごく響きました

ネタバレ
2021年5月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLコミックスは様々ありますが、やはりこういう作品が1番心に残ります。5つのお話(4つ目と5つ目はリンク)が入った短編集。表題作がすごく心に響きました。高校3年の春、刀根は「性同一性障害ってビョーキなんだけどよろしくね」と隣の席の波広に挨拶します。波広は「病気じゃ大変だろうけど できることなら俺も協力するよ」と返して、刀根は大笑い。2人は友達になり、明るく人のよい波広のことを刀根は意識するようになります。このお話が描かれたのは2005年で今よりずっと性同一性障害について知られていなくて、波広は悪気なく刀根に配慮に欠けたことを言ってしまいます。刀根がジュリーの「ダーリン」をカラオケで歌うシーン。中性的な魅力のあったジュリー。リアルタイムで聴いていた世代ですが、この歌がこんなに悲しい愛の歌になるなんて。波広はここでも刀根の気持ちとは相容れないことを言ってしまいます。波広はとても優しい。でも...。ラストのページではせつなくて胸が苦しくなりました。セクシュアリティを家族に受け入れてもらえないゲイの男の子のお話もありました。私もBLにハマってるのを知られるとマズイと思っていろいろ隠してたつもりが、ある時何気に「腐女子やなあ」と言われて石化しました。なんか、生暖かく見られてる感じです。でもこれがギャースカ言われたらつらいだろうな、泣く泣く封印すると思います。セクシュアリティだったら人間の根幹に関わることだからもっと苦しいことでしょう。こういうお話を数多くの人が読んでもっと理解していけたらいいなと思います。様々な事象について、自分と違っていても互いに認め合うことができたら、人はもっと生きやすくなるのではないでしょうか。
2007年1月 総213ページ 修正は白いモヤ。
いいねしたユーザ7人
レビューをシェアしよう!