遥山の恋
」のレビュー

遥山の恋

六青みつみ/白砂順

余韻の残るラストがいい

ネタバレ
2021年6月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 六青先生デビュー作。
領主の嫡男である貴哉が傷を負って倒れているところを身体中に痣のある山人シノが見つけて介抱するところからお話が始まります。最初こそすれ違っていた2人ですが、シノの純粋で汚れのない優しさに触れていくうちに貴哉の警戒心も溶けて心も身体も通わせていきますが蜜月は長くは続かなくて‥。シノの貴哉に向ける心の変遷が丁寧で読み応えがあり、待ち人になってしまった時のシノの苦悶に胸が苦しくなりました。
そして後半、ようやく幸せになるかとお思いきや2人が思い描く幸せには違いがあり、またもやすれ違ってしまう‥。だからこそ、ラスト数行に仲睦まじく幸せでいる様子が垣間見れて至福と安堵を味わいました。
ストーリーの構成はいいし緩急もあるし、何より心情の描き方がすごく好きでした。読んでよかったです。
いいねしたユーザ5人
レビューをシェアしよう!