SUPER NATURAL
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SUPER NATURAL

絵津鼓

好きだからこそ、立ち止まってみる。

ネタバレ
2021年6月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読み作家様です。気になってお気に入りリストに入れてたものの、ずっと寝かせたまま熟成してしまった作品です。最近、フォロー様方が続いてレビューされたのを見て、これなら間違いないと購入しました。感謝です!リアルにありそうな恋模様です。ノンケ同士の二人が、友達のラインを越えて、悩んで、葛藤して、立ち止まって必死に答えを出す。心の迷いや苛立ちが手に取るように伝わってきます。
『学生編』では、暢が大地に苛立ちを覚えるのは、好きな気持ちをもて余して、やり場のない感情のせいか、コツコツ頑張る大地に対する焦りや嫉妬かな?と思っていました。そんな浅いものではなく、頑張り過ぎても、結果が出ないと傷ついてしまう事を考えてたんですね。ちゃんと大地の事見てるなぁ…何でも一人で背負ってしまう不器用な大地。ちゃんと見守ってくれるから、不安な事も暢に預けて、もっともっと甘えたらいいね。そして暢だけでなく、自分自身も信じて。「一緒におって」は刺さりました。可愛いっ!
『東京編』ではさらに大地の葛藤が深まり、ちょっと切ないかな。同性に恋をした事がないので、大地の悩みや辛さがわかったつもりでも、ほんとは私、わかってないのかもしれない、と思いました。男同士である事。受けならではの葛藤。暢が女の子の代わりにしてるとは、本気で思ってないでしょうけど、大地も同じ男だし、対等でありたい気持ちはとてもわかります。心配されたり、守られたり、女の子じゃないのに…これは、男の人にしかわからない感情ですよね。暢は、ただただ大地が好きで、好きな子には優しくしたいだろうし、甘やかしたいだけなんですけどね。難しいですね、こういうすれ違いって…
相手の気持ちを尊重するには、相手の気持ちを知らないといけない。大地一人がモンモンとするよりも、そこはちゃんと気持ちを伝えて、暢の気持ちも受け止めて。そうやって、ボタンの掛け違いを直せば、いいのかなと。そういう事の積み重ねですよね。
他人の目も気になるし、女の子に戻るかもしれない不安もあるけれど、男と女が付き合っても心変わりはあるのだから、『男同士だから』に囚われてしまうと見えるものも見えなくなりそうで…肩肘張らず、ありのままの姿でいいんじゃないかな、と思いました。大地の不安を全力で受け止める暢が、ブレずに強くてカッコ良かったです。
良かったぁ。レビュー拝読、ありがとうございます。
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