執事の分際
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執事の分際

よしながふみ

「私の命に替えましても」

ネタバレ
2021年6月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 辞書によれば「分際」とは身のほどや身分、立場のこと。「××の分際で!」と誰かに言われたら出しゃばらず己をわきまえて言動を慎まねばならない。
第1話『シノワズリ』では、本編『執事の分際』(革命前夜) より30年前のフランスはガチガチの身分制社会で、よもや貴族と従者が「分をわきまえずに」愛を告白したり愛し合うことなどあり得ない時代だったんですよ、という前提が語られる。
続く『小姓の分際』では、13才で名門貴族に仕え始め、長じて執事となったクロードに、病に伏した当主がまだ年若い息子アントワーヌを託す場面で互いに対する思いが描写されるが、ここでも格下の執事から当主へ胸中が語られることはない。
そしていよいよ、『愛とは夜に気付くもの』以降、アントワーヌとクロードの物語に入る。クロードの思いがわからず焦れ続けるアントワーヌ。革命が起きて遂に身分差がなくなった瞬間から、二人はどうなっていくのか?ぜひ、すみずみまでご堪能あれ!
(本筋とは関係ないところで個人的には、結婚と子作りについてのクロードの身も蓋もない表現が好きでたまらない)
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