囀る鳥は羽ばたかない
」のレビュー

囀る鳥は羽ばたかない

ヨネダコウ

性被害から救済されることの難しさ

ネタバレ
2021年6月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 百目鬼が矢代を「優しくて強くて綺麗な人」と言った時、異質なキャラクターの見目麗しい矢代に、無自覚ながら憧れ、畏怖、幻想を抱いているのだと思った。特に「優しい」の部分は、まだ嘘つきな矢代に上手く隠されていた。
今はその意味が分かります。
矢代は過去から現在に至るまで誰も傷つけない為に、自分で自分を傷つける道を選び、誰にも同情させない為に演じ、誰にも共感させない為に自分自身すら傍観し、そうやってかろうじて生き残ってきたんだと。
優しいから、優しすぎるから。
7巻でついに対等な関係、守らなくていい存在になった百目鬼に、沢山の辛い過去を壊されて、愛されて、また立ち直って、どうかどうか幸せになって欲しい。
矢代という男の過去からの救済を願わずにいられない。
きっとまた待つことになりますが、最後まで見届けます。
いいねしたユーザ12人
レビューをシェアしよう!