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杉原理生/北畠あけ乃

暗い余韻を残すものの良いストーリーでした

ネタバレ
2021年6月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 何となく開いて読んでみたら思いの外良かった、という感想です。BL小説を読むのは2作目なので他と比べようもないのですが、あまりBLというのを意識させず、恋愛小説の体で読みました。
文体がとても好きなので、作者さんの他の作品も読んでみたいと。
冒頭では若杉の方が野田を振り回すのかと思いきや、散々に翻弄するのは野田の方で、若杉はとにかく辛抱強く一途に野田が自分を見てくれるのを待っている。それこそ気の毒な程に。語りは終始野田なのですが、若杉の方にだいぶ肩入れして読み進めてしまいました。若杉の純情が届いて本当に良かったです。
主人公の野田の家庭の問題は解決しないまま終わるので、ラスト近くまで不穏な空気に包まれたまま。
そこがこの作品の良いところなんでしょうが、何とも言えない余韻を残した読後感でした。
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