おかえりオーレオール
」のレビュー

おかえりオーレオール

高津

涙が滲むほどに胸に響く青春の眩しさ

ネタバレ
2021年6月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「好きになった瞬間から幼馴染じゃいられなくなった」
この帯を読んだだけで堪らなくなるくらい、私の心に深く残る良いお話でした。
幼い頃からの幼馴染で目立つ存在のカズと、地味めのモト。
ある日カズはモトの事を意識しだすようになります。

思春期真っ只中。親友だと思っていた幼馴染への感情の戸惑いや葛藤が、想いを告げてしまうカズ目線、告げられたモト目線それぞれの視点から描かれ、繊細な心情描写と、目線や後ろ姿といった言葉のない秀逸な表現も合わさってお話に引き込まれていきます。無理にどうこうなろうとしない、その時々の正直な気持ちが綴られるのも自然でとても良かったです。

中学から高校と長い時間をかけて決して無理せず少しづつ変わる幼馴染の距離感を保ちながらゆっくりと流れていくんですが、付かず離れず、見返りも求めず、ずっとずっと想い続けるカズの一途すぎる健気さと、精一杯見せる笑顔や溢れる涙が本当に切なくて、何度も胸が痛み涙が滲みました。

エピローグのオーレオールを背景に2人の並ぶ姿が、幼い頃とは違う立ち位置である事も、これまでの2人の成長や積み重ねてきたものが現れているようで、とても好きな光景でした。
カバー裏も良かった!
絵は素朴でキスのみですがとっても優しい幸せな読後感で、大好きな1冊になりました。
いいねしたユーザ20人
レビューをシェアしよう!