君のいない人生に喜びなんてない





2021年6月21日
表題作+2作品の短編集。
お話を読む前にみなさんのレビューを見て3組ともハピエンだとわかったとしても、作品の素晴らしさと感動は少しも損なわれませんのでご安心を。「どういう結果になったか」より「どんな過程を経たか」にこそ独自の表現があって、それを味わうことイコール読むことの喜びだろうと思います。
芸術はディテールに宿るとは先人の言葉ですが、作者の描く人物たちの目つき口元、首や体の傾き、手の握りや開き具合、立ち位置やアングル、映り込んでいる小物の1つひとつに至るまで、「確かにこれ以外にはあり得ない」というバランスでそこにあり、しばし見入ってしまいます(床に転がっているチッチの足の角度や、玉手ちゃんが食卓で後ろ手に隠し持つ携帯、八木が飲み物の湯気の熱さにしかめた顔つき etc.)。
3編3組の主人公たちは皆、「この人がいない自分の人生はどうなるのか」と考える岐路に立たされ、彼らなりの結論を出します。その過程がとても素敵でした。
表題作『子連れオオカミ』には『オオカミの血族』という続編があります(そちらの読後に再び本書目次のカラーイラストを見ると感慨無量です…)。
お話を読む前にみなさんのレビューを見て3組ともハピエンだとわかったとしても、作品の素晴らしさと感動は少しも損なわれませんのでご安心を。「どういう結果になったか」より「どんな過程を経たか」にこそ独自の表現があって、それを味わうことイコール読むことの喜びだろうと思います。
芸術はディテールに宿るとは先人の言葉ですが、作者の描く人物たちの目つき口元、首や体の傾き、手の握りや開き具合、立ち位置やアングル、映り込んでいる小物の1つひとつに至るまで、「確かにこれ以外にはあり得ない」というバランスでそこにあり、しばし見入ってしまいます(床に転がっているチッチの足の角度や、玉手ちゃんが食卓で後ろ手に隠し持つ携帯、八木が飲み物の湯気の熱さにしかめた顔つき etc.)。
3編3組の主人公たちは皆、「この人がいない自分の人生はどうなるのか」と考える岐路に立たされ、彼らなりの結論を出します。その過程がとても素敵でした。
表題作『子連れオオカミ』には『オオカミの血族』という続編があります(そちらの読後に再び本書目次のカラーイラストを見ると感慨無量です…)。

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