あの日、世界の真ん中で
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あの日、世界の真ん中で

小鬼36℃

ど真ん中ですよ

2021年6月28日
1巻200ページちょい。その中に詰め込まれたものの大きさ。
これ少女マンガなんですねえ。散々マンガ読んできた世代ですけど、もう少女マンガには心底ウンザリしてなかなか手が伸びませんでした。
今もこんな直球のマンガが描かれることに涙。
恋愛が真ん中に置かれている訳じゃない話なのに、2人が2人でなければ生きていけないことが叫んでるみたいに伝わってきます。

茎子と茎太(漫才コンビか?笑)。アパートの隣同士でどちらも父親に恵まれず、田舎町でずっと一緒に育ってきた2人。陸上で大学に呼ばれる程の結果を出している茎子。
そんな茎子への劣等感と自分の好きなことに素直に邁進できない状況に置かれ腐っている茎太。

恋も愛も人生も全てがもつれ絡まって進んで行く感じがすごい。学校、部活、家庭、田舎町。主人公2人にとって世界が狭く小さく感じられるようになった時、全てが動き出していたのかもしれません。

試し読み部分と本編での茎子の印象がガラッと変わるのが驚きで、そこで初めてこれが少女マンガだったことを思い出しました。

エピローグで茎太がどんな大人になっているかは必見。もがいて足掻いた日々が、振り返ってみればほんの一瞬だったことが大人になればよくわかる。
2人を取り巻く家族や友人、先生やおっちゃんまでが決して美化されずさりげなく人間臭いのがいい。田舎町の閉鎖空間でもこんな人達に囲まれた彼らはやっぱり幸せだったんだなと思います。

マンガが未だ性差表現カテゴライズされていることが心の底から残念です。
18○とそれ以外、そんなんでいいんじゃないの?
このマンガが少女マンガ枠だからってこの作品に出会えない男子がいたらそれはとても勿体ないと思うんですけど。
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