月がきれいと言えなくて
」のレビュー

月がきれいと言えなくて

水原とほる/ひなこ

心を揺さぶられました

ネタバレ
2021年7月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 亡くなった祖父の手紙を届けにやってきた高村は隣のマンションに住む明紀に宛名の粕谷のおじいさんが1年前に亡くなっていることを知らされます。明紀は粕谷のおじいさんの娘に連絡をとり、娘が以前に粕谷のおじいさんが高村のおじいさんに宛てた手紙を見ていたことからその手紙を高村と探すことになります。明紀が勤める高校の生徒との関係や明紀、高村の過去についても書かれていてとても読みごたえがありました。50年前と現在、それから明紀の生徒の未来、それぞれについて考えました。せつない気持ちになりましたが、あの手紙はずっと2人の心を繋げていたのかなと思いました。大切なお守りのように50年もそばにあって、後悔でもありなぐさめでも美しい思い出でもあったのでは。なんとも言えず胸にひたひたと迫るお話でした。ひなこ先生の挿絵が素敵でした。
2019年11月 総190ページ。
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