春までの距離
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春までの距離

ハルモト紺

春が春を好きになるまで

ネタバレ
2021年7月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 高3の津田春(しゅん)は春が嫌い。棚橋俊彦が好き。でも俊彦には彼女がいて、自分は告る勇気も無くて逃げるところも無くて、桜の花散る川辺で一人泣いているところに、空を撮っていた前原仁季と出逢います。仁季は春のクラスの転入生でした。春の泣き顔が気に入ったというマイペースな仁季ですが、春の俊彦への恋心に気が付きます。やがて春は、自分が男しか好きにならないこと、俊彦を好きなことを仁季に打ち明けていました。仁季もまた映画を作りたいという夢を春に明かします。何もかも嫌になったら俺がおまえを攫っていってやるという仁季に勇気を貰い、春は仁季にこっそり付き添ってもらい俊彦に告白します。俊彦には好きという気持ちさえ伝わらなかったけれども、仁季と春は夜の川辺で世界の変わるくちづけを交わします。
仁季のお陰で自分の見ていた世界が変わり、嫌いだった春(季節の到来と自分自身の成長)を待ち侘びるようになる春。飄々とした仁季と周囲や相手を気にする春、それぞれの優しさが相手を支え、お互いの夢の架け橋となります。
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