スメルズ ライク グリーン スピリット SIDE-B
」のレビュー

スメルズ ライク グリーン スピリット SIDE-B

永井三郎

幸せってなんだろう

ネタバレ
2021年7月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ こんなメッセージ性の強いストーリーを読むと元々無い語彙が更に消滅する。
読後の後味は複雑です。
女装に興味がある、同姓が好き、ショタ好き、彼らのパンドラの箱が開いて自覚する。
精一杯足掻いたり、受け入れたり踠いている。
この物語には三島、夢野、桐野、柳田がいるけれどキーパーソンなのは母親だと思う。
三島の母親は正に見本となる素晴らしい対応だった。あれほど心強い言葉は無い。彼の強さの一端をみた。
一番心に残ったのは桐野の母親で、人口の少ない田舎で先生と呼ばれる職業であり仕方なかったのかもしれない。でも…と思ってしまう。少数派と言うだけで異端なんですね…。
彼は桃源郷には行かなかったし、行けなかった。全てを受け入れた時の黒塗りの顔は笑っていたのか、泣いていたのか全て読者の想像に任せる永井三郎先生がニクい。私が泣いた。
ガンバレが決別の言葉なんですね。普通に大人になった彼の目には母親の笑顔と子供、赤トンボが写っている。其れだけが彼の幸せなんだろう。余計なお世話ですが、母親が亡くなったら桐野は保てるだろうか。子供が支えてくれるかな。赤トンボは三島との想い出なのかな、そうだと良いな。
柳田はちょっと特殊なのでコメントが難しいのですが、絶対にしてはいけない事をしたけれど、もう少し周りが対応が違えば違う人生になったのかな。
救いなのは三島と夢野が幸せだった事。
これを発行されたのが2013年ですか…。全く古さを感じさせないストーリーでした。
そして柳田のスピンオフがちょっとまだ読めなくて。心身共に健康なタイミングで読ませて頂きます。
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