鍵のかかる部屋
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鍵のかかる部屋

紺野けい子

鍵のかかる部屋に、封印するものは…?

ネタバレ
2021年7月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大学卒業後8年ぶりに偶然再会した沢村と萩野。ほどなく互いがゲイだと知ることになり…?と始まるお話。
わずか15ページのこの物語、少々「問題作」の様相を見せ、作者推しで文句なく高評価という声のほか続編を求める声(2人のラブが見たいから/短かすぎて分からないから)もある一方、やはり低評価の声(短い/物足りない/恋人がいるのに浮気したから)も結構あり…。
ただ、学生時代は親友同士だったのにずっと会わなかったのには相応の理由があったに違いなく、「お互いに臆病だったんだろうな…」という沢村の独白が、紺野先生が残してくださった手掛かりかなと思いました。
何に対する"臆病"? 学生というまだ社会において何者でもない身で先が見えない恋に踏み出す不安? うまくいかなくなったら友人同士としての思い出も失くすかも知れないことへの不安?
(モラル重視派の方々には受け入れてもらえないだろう個人的意見ですが) 何にせよ、2人が臆病ゆえに中途半端な形で思い出の中に置いてきた「恋」に終止符を打つためにしたことだという気がしました。長い恋患いだったから事後数日は反動や余韻があったでしょうが、沢村のあれは「これでお互い決着できた」という表情に思えました (だからもちろん続編不要でしょうし、あったとしても別CPの脇で少しエピソード紹介される程度でいい気が…。同じ出版業界にいるライターと編集者ですしそれならありそう?)。
今度こそ本当に恋に決別して鍵のかかる部屋に封印する、という意味なのかな…?と。
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