神さま、お願い~恋する狐の十年愛~【電子限定SS付き】
名倉和希/陵クミコ
このレビューはネタバレを含みます▼
レビューの良さ(購入当時★4.8)と、試し読みで面白そうだったので購入。
ただ、この作者さんの作品は設定は好みなのに結局何か違うという結果になることが多く心配していましたが、残念ながら予想どおり微妙な感じでした。
狐のもののけ・佐登の壮志を一途に思うが故の行動はとても健気で可愛らしく、最初の出会いの頃の小さい姿も、急に成長して20歳前後、その後の30台半ば…どの佐登も良かったです。
それゆえやたらと加齢というか、容貌の衰えを気にするところが気になってしまいました。
大好きな壮志に会って元気でいるか知りたいという純粋な気持ちから神通力を授かったはずなのに、後半は気持ちより容姿と加齢(要するに自分の事)ばかり言及している気がして、なんとなく最初の印象とは違ってしまったな、と少々ガッカリ。
挿絵では30台半ばとはとても思えないようなイラストだったので、話のほぼ全体をかけて気にしなければいけない加齢に思えず、さらに違和感を与えられてしまいました。
結局毎回何も言えずに姿を消し、何度も壮志を傷つける結果となっているのも自分勝手な印象でした。
一方の壮志。
正直、佐登がずっと想い続けるような人物でなかったのが非常に残念。
出会った当初はまだ10歳の純粋な子どもゆえの優しさだったのが、佐登の中で美化されているだけのような気がしました。
15歳の少々やさぐれている思春期はまぁ仕方ないとして、20歳の壮志は惚れる要素がある?と逆に聞きたい。
歴代彼女たちへの考え方などは最低で、佐登は来るもの拒まず去る者追わずと表現していましたが、良く言いすぎ。
とにかく壮志の性格が微妙過ぎて、佐登が姿を消して傷つけられても特に同情することもできませんでした。
褒めるべき点があるとしたら、どの年齢の佐登にも変わらない愛情を示し続けたことくらいでしょうか。
ただ、ラストの佐登がすべてを告白したシーンは切なくて泣けました。
そこだけは良かったので★3評価。
あと、元気になったその後の佐登の見た目が、作中ほとんど書かれていなかったことだけが残念。
あれだけ佐登が気にしていたのだから、読者にも教えて欲しかったかな。
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