ベルサイユのばら【新装版】
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ベルサイユのばら【新装版】

池田理代子

熱狂的ファンが小中高のどこにでも大勢居た

2021年7月16日
あの頃のもてはやされ方は尋常ではなかった。教室で魅力を語る友が切れなかった。連載(72年4月-73年12月と驚異的に短い連載なのに話が濃密)終了後何年経っても。読んだ人が皆熱く勧める。中学時代には後ろの席の級友が10巻一括で貸すと言って来た。後日私はお年玉で全巻購入した。彼女達信奉者はフランス革命通になった。小学生時分は、文字びっしり書き込まれたフランス革命研究ノートを小5?6?秋に見せてもらって、勉強家ぶりに驚愕した。クラスの男子は連日粗暴で陰惨ないじめにまだ興じていた時期である。
(数年後宇宙戦艦ヤマトで時系列分析的にまとめたノートを弟の中学の級友を通じて読んだ時類似点を感じて、漫画&アニメの巨大な潜在パワーを確信した。)
全巻貸しの友に巡り会う中学時代そのとき初めて、登場人物に「様」を付けて呼ぶ人が居ると知る。高校時代の級友は池田理代子先生ファンに迄進んでいた。信仰に近かった。彼女から、作家個人の好みなど側面の楽しさを教えて貰った。社会人約20年目には先生の「オルフェウスの窓」によって大学の進路を決めたという同僚にも出会った。ヅカファンがベルばらで増殖、アニメ化は新読者獲得で裾野一層拡大。以前から知っていた宝塚が格好の宝塚的素材を得てキラッキラになったのを目の当たりにした。ブーム大き過ぎで遠巻きに眺め、漸く私が観劇したのは何世代も後の公演。漫画とは競合せず、別物だった。既にアニメ全般に傾倒していた私には、予算?時間?不足感の数々の省略や、原作から酷く外れた初期変更も不満、漫画の方が人物の苦悩や歴史のうねりを遥かに追体験出来て好んだ。アニメは雑な出来に思えた分、詩情を味わいに漫画を読み返しに戻った。
因みに娘がある時いきなり読んでみたいと言い出し購入を頼んで来たので、数年前文庫版大人買いし約35年ぶりに読んだ。娘の級友が別経路で読んでおり、彼女らもファンである。
虚構と現実の配分が巧く、少女の心に強い印象で時代を駆けた衝撃の青春群像劇。4人は勿論、ロザリー、シャルロット、ジェローデルも光る。フランスをベルサイユを宮廷を彩った彼らの鮮やかさ、連載後約10年継続した興奮を、時代と共に味わえて幸せだったと思う。思春期あれだけ熱狂した級友達は今何を?。当時漫画・アニメは現在の高い地位に無く、ファンは偏見と戦った。私は少女漫画の、瞳の星の丸粒もバックの花も好き。(2012年ベルサイユのばら展行きました。)
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