大人で子供で先生で
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大人で子供で先生で

ナリ

茅根と井関よ、永遠なれ!

ネタバレ
2021年7月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ ヤンキー高校の美形教師・茅根律(かやねりつ)と彼が担任している硬派なヤンキー生徒・井関瞳悟(いせきとうご)の恋物語。『ファンキー・ヤンキー・ベイビーくん』の続編。
学校では生徒指導をきちんとし崩れたところは何も感じさせないのに、どこか危なっかしい茅根。男たちを惑わす煽情的な空気感をまとっているのに本人は無自覚・無頓着・無警戒で隙だらけ、すぐ男たちにつけこまれてしまう。おまけに冷蔵庫の中はほぼ空で生活能力もほぼ皆無。このアンバランスさは、どこから来るのか?
茅根の無防備な可愛さに瞬殺された井関の前に立ちはだかる茅根の過去の男・滝口篤哉(たきぐちあつや)。最近のヤクザらしく下部組織とはいえ幹部なので汗水たらしてシノギをしないのか、たびたび茅根や井関の前に出没します。ですが (解釈が分かれるところですが) 滝口自身は茅根のことを、気に入りの玩具程度にしか思っていないなと感じました。ただその気に入り方というのは、肉体的・精神的に痛めつけた相手が苦しんだり悲しんだりすることで己の嗜虐心を満足させてくれる存在だという意味でのお気に入りなのだろうと…。あるフォロー様の言う通り"筆舌に尽くしがたい"悪そのもの。
信じた男の手引きで十代で痛めつけられた記憶が幾度も茅根の体を竦ませます。心の一番大事なところで人を信じ愛し、人からも信じ愛された感覚を持てないと人の心は荒んでいく。もともと養子で寂しさを抱えていたことと相まって、投げやりで生活感のない生き方しかできなかったのかも知れないと思いました。
でもどんな苦しい過去があっても他者の言葉と行動によって恐怖心を克服し、再び人を愛せるようになるのだと信じようと思えたお話でした。
ま、それはさておき初めてのベッドインであんなことされた日にゃ、井関のロープほどの太さの忍耐力では言わずもがな、ナイロンザイル並みだったとしてもブチッと行っちゃうよ…。
絵柄については…いまベテランでもデビュー当初は既存作家似と言われ続けた作家様たちや、自ら他作家の影響を受けたと公言している先生方もおられ、自分は気にしませんでした。
(フォローしている方の優しいコメントに原形なく溶けました…自分こそ日々励みにしています。そして別のフォロー様。目が早く快復されますように)
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