執事の分際
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執事の分際

よしながふみ

天才の描くもの

2021年7月20日
素晴らしかった。もうそれ以上言葉が出てこない。
天才が描くと1コマの重みが全然違う!
驚くほどのえちシーンの多さですが、どれもここぞという必要な場面なんですよね。コマ数、セリフ、最小限でも最大の効果。
これでフランス革命前後の貴族の状況がわかるんですからすごいすごい。
男性同士の愛ですけれど、BLと呼ぶにはどうなのか、ちょっと超えたところにありますよね。
分冊版ではblだったようですが、コミックスでは少女マンガになっています。

連作短編集で、東洋の血が混じった従者と貴族のcpが2組登場します。
最初の作品、貴族とその愛人(マダム)の従者の切ない愛「シノワズリ」。
続く短い「ある貴族達の一日」。ザックリ傷を遺す短編です。一瞬でやられます。こういうの、名作っていうんでしょうね。
「シノワズリ」の貴族の友人の息子と、過去貴族に愛された東洋系の従者の甥。この2人が表題作「執事の分際」から続く連作の主人公です。
よしなが先生の「ジャックとジェラール」同様、「ベルばら」では描かれなかった貴族にとってのフランス革命。
同じく違う角度からフランス革命を描いた作品に「死刑執行人サンソン」とかありますけれど、ああいったものとも違う、でも同列で語りたいくらいの完成度。
会話のひとつひとつも洒落てて可笑しくて、でも泣いてしまう、この内容とページ数(ましてやセール中)なら断然買いです!
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