言ノ葉ノ世界
」のレビュー

言ノ葉ノ世界

砂原糖子/三池ろむこ

不器用カップル

ネタバレ
2021年7月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「言の葉の花」のスピンオフ。
主人公は生まれた時なら心の声が聞こえてそのせいで家族を失った、仮原×真面目で嘘のつけないバカ正直な大学准教授の藤野。
仮原は口も悪いし虚勢を張って悪ぶってるけど、本当は寂しがり屋で誰よりも愛されたい欲求が強いんだと思う。
だから暇つぶしと言いながらも悪口ではなく、賭け事の声しか(多分)あまり聞こえない雀荘に通ってたのだと思う。
病院で身寄りのない淋しいお年寄りと話してたのもカモを探してただけではなく、人と話すことが楽しかったんじゃないかな。
口から出てくる言葉とは真逆なことを言う心の声ばかり聞いてきた仮原が初めて出逢った心の声と実際の言葉が同じ藤野。
最初は騙すつもりで近づいたのにいつしか藤野に執着する様になったのはその心に癒されたからでは?
心が子供のまま育ってない、捨てられた犬みたいな仮原。
藤野の過去や大学での人間関係に嫉妬したり、まるで未来の自分のような『彼』と出逢い、心が揺さぶれたり…
『彼』も仮原にかつての自分を見るようで辛かったのかも。
「言の葉〜」とはまた違う仮原と藤野のすれ違いが切なかったです。
『彼』の正体は気づかないふりをして読んでたのですが、あとがぎを読んで衝撃を受けました。
『彼』の未来が明るいものになりそうで良かった。
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