鴆-ジェン-
」のレビュー

鴆-ジェン-

文善やよひ

命懸けでも叶えてやりたい誰かの夢

ネタバレ
2021年7月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人と鳥を掛け合わせたような美しい妖鳥•鴆(ジェン)は、毒を喰らい体内に蓄積する事で美しい羽根の色を作り出し、より美しい鴆を囲うことは権力の象徴となっていました。翼を持つ為に手は無く、人型である為嘴の無い鴆が己を守る手段は、その毒にあり、より美しい羽根を持つ鴆は、より毒が強く、また強い毒を与え続ける為に専門の鴆飼がその飼育にあたります。虹色の最高に美しい羽根を持つ鴆を育てた鴆飼•ランがその鴆•ツァイホンに殺され、ツァイホンは亡くなったランの弟、今は武人であるフェイに世話を一任されたのでした。美しい羽根を持つことが存在意義である鴆は、毒を取らねばならず、毒を持つ身では相手を毒してしまうので真に愛されることは叶わない…美しいだけでなく賢く誇り高い鴆の、鴆でいるがゆえの孤独さと葛藤を中心に描かれる煌びやかな人外ファンタジーです。
フェイとツァイホンを主人公とした1巻に続き、2巻では生まれつき美しい羽根を持つことが叶わなかった二羽の鴆、白い羽根のリウシンと黒い羽根のジーイエの恋が語られます。『極夜』の番外編も併せて、大陸の空を舞う華麗な鴆とそのストーリーを堪能して下さい。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!