3番線のカンパネルラ
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3番線のカンパネルラ

京山あつき

ロマンだなぁ〜奥深い

ネタバレ
2021年8月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 3番線、カンパネルラ、、電車?列車?カンパネルラ?宮沢賢治…?……『銀河鉄道の夜』じゃん!!と、作品のタイトルだけでもう好きな作品になりました。文学作品を題材にしている作品本当好きです。プロットをパクってるわけではなく、概念やアイディアをシンボリックな要素として取り入れてる部分が最高です。深みが何倍にも増す。
あらすじやレビュー読まず、情報ゼロ状態で読んだので、加納くんが店長と恋仲になると知った時は不意打でした。作品の表紙とストーリー序盤の印象から、高校生くんと何かあるのかと想像しました。なのにも関わらず、メインでない高校生くんの存在をこの作品の最重要な位置において物語を進行させる描き方、素晴らしいですね。恋にも人生にも疲れて“幽霊”化していた主人公、加納くんを、カンパネルラがそうした様に、高校生くんが助けてくれたんですね。高校生くんは加納くんにとってメシアだったんですね。そんな高校生くんとの縮まらない一定の距離感がなんだか凄く切なく感じました。高校生くんの加納くんへの思いに顔見知りという事以外での感情は無いのかもしれないけど、あの駅のホームで加納くんと店長を見送った時の彼の表情がどこか寂し気で…僕にとってはとても意味ありげなシーンでした。主人公でない高校生くんの存在がどうしても気になると読者に思わせる事があつき先生の意図でもあったのかなあ。作品のタイトルや表紙がもうそう物語ってますもんね。
加納くんと店長のベランダでのやり取り、加納くんの首元のボタン、店長のワイシャツの袖捲りのシーン、めちゃくちゃセクシーで官能的で鳥肌立ちました。あのシーンはやばかった。
主人公、加納くんが、救世主高校生くんとの出逢いがきっかけで、人生・恋愛という名の鉄道旅行にまた乗り込めて良かったです。店長のロマンティックな思考に感化された。
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