憂鬱な朝 NOBLE COLORS
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憂鬱な朝 NOBLE COLORS

日高ショーコ

感動を呼覚まし、新たな感動を生む「愛蔵版」

ネタバレ
2021年8月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 100毎レビュー(100レビュー毎に敬愛する作者さんの作品レビューをするという個人的楽しみです)も6回目。日高先生の作品の中でも、私にとって特別な位置付けにある『憂鬱な朝』のコレクションBOOK。巻頭から収録されている美しいイラストは、単行本の表紙が順に並んでいて、本編を読み返さなくても、桂木と暁人の物語が思い出されて心震えます。でも、読み返さずにはいられなくなって、結局読み返して涙涙なんですけれど。
額装して飾りたいくらい美しいイラスト集の他、描き下ろし番外編も収録されていて、桂木と暁人の素の姿や表情にドキドキするやら可愛いくてニヨニヨするやら心が忙しいです(特に全サペーパーは笑っちゃう)。他のキャラとの絡み(エピソード)も楽しいです。
(↓ ネタバレご注意)
日高先生と原作担当のタキエ先生のインタビューからは、ご苦労されながらも描き切っていただけたことが分かり、感動が深まります。タキエ先生の「バッドエンドはダメですか?」には本気でびっくりしました笑。2人とも頑丈で死なせられなかったというくだりは、ホッとしつつも可笑しくなってしまいました。作者さん方の意のままにもならない桂木と暁人にますます魅了されます。2人がこの時代に生まれ、共に生き抜き(作者さんに死なせられることもなく)、肩を並べて歩いていく姿は、これ以上ないエンディングでした。桂木の出生を明かし、桂木を抱き寄せる暁人の姿と言葉は、しばらく引きずり、思い出してはウルウルしていました。そして、桂木にとっての憂鬱な朝、暁人が英国へ旅立つ朝の桂木の一つ一つの描写もとても印象的で、「あの桂木が…」と胸がいっぱいになったのを思い出します。
この愛蔵版の目玉とも言える、暁人が留学から帰ってきたときのお話が本当に嬉しかったです。ある意味、期待を裏切らない桂木の姿に「もー!もー!」と牛のようになりつつ、苦笑するしかありませんでした。そんな泣きそうな顔しといて、髪って!ブレないな!と。でも、8巻海辺で「外ではご免です」って言ってた桂木が、群衆の中で暁人と口づけする姿や、暁人が髪を切らない理由を想像し幸せをかみ締めながら髪に触れる姿に感涙でした。
10年もかけて『憂鬱な朝』を描いてくださり、このような愛蔵版で新たな感動をくれた日高先生とタキエ先生に感謝の気持ちでいっぱいです。(8/9まで本編共にセール)
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