このレビューはネタバレを含みます▼
初読み作家様です。新刊『失恋ヤクザ花嫁になる』が目に留まり、鬼シリーズのようなので先にこちらを読みました。もぉ、良かった!新刊目にして良かった!こんな素晴らしい作品に、出会えてホントに良かったです。
退廃した森を司る祟り神・しい様×鬼と人間のハーフ・椿丸の愛が溢れる物語。
元々は山を守る椎木の神様だったのですが、人間の身勝手な欲に御神木を切り倒され、悪い気を一身に受けて祟り神様になってしまった…という気の毒な神様です。このしい様が、祟り神とは思えない、なんとも言えない優しいお顔で、優しい表情なんです。人間に裏切られた恨み事など一切なく、たった一人孤独に過ごして来た神様。これだけで、胸が痛みます。椿丸もまた孤独な子で、二人が出会い離れ難くなりながらも、椿丸の幸せを願っては己の孤独を覚悟するしい様が、たまらなく切ない。胸とのどの奥がぎゅうっと締め付けられます。椿丸もまた、しい様を心から慕い、独りにさせたくないと健気なんです。とにもかくにも我が身の事よりも、相手の幸せを願う心がどれほど尊いでしょう。それ故に起きるすれ違いが、たまりません。初読み作家様ですが、とても心情が繊細に描かれています。
人間に裏切られても、人間を恨まずどこまでも温かい。それだけの情の深い神様だから、何があっても、椿丸を愛し抜くだろうなと。きっと我が身の半身のようなものじゃないかと思いました。互いが居なければ、生きる意味がないほどに、しい様が全て。椿丸が己の全て。そんな風に思える愛でした。涙、涙です。
辛い事ばかりではなく、幸せな彼らの姿に嬉し涙もありました。ほっこりと優しい気持ちにもなれました。
1、2巻通して愛とエチがいっぱい詰まっています。他の鬼シリーズが楽しみになりました。
ホホ様のお話が気になるので、スピンでないかなぁと密かに願っております。
と~っても大好きな作品になりました。
*触手が苦手な方はご注意ください。触手じゃないけど、触手のような木の根っこが描かれています。