皇帝と怪物
」のレビュー

皇帝と怪物

akabeko

泣けました。akabeko先生最高です。

ネタバレ
2021年8月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ akabeko先生に感謝のハグを飛ばしたい。とっても、良かったです。のめり込むように、一気に読みました。また、akabeko先生がさらに好きになりました。この作品を読むに辺り、皆様のレビューは一切読まずに、読後に読みました。色々なご意見があって、勉強になりました。
中国風ファンタジーとして描かれたこの作品。若い頃に読み耽った三*志を読んでいたような、興奮、高揚感がよみがえったようでした。策略・陰謀・裏切り・駆け引きなどなど、胸くそ悪いような事もありましたが、智と智の闘いにワクワクしたものです。史実や歴史的背景に疎くてものめり込めるあの有名作を思い出しました。ホントに歴史的な事はわかりません。単純に、目の前に繰り広げられる物語に気持ちを添わせるだけしか出来ませんが、初代皇帝ウトサの哀しみ、43代皇帝の無力感や大切な命を奪われた悲しみに感情移入するには十分なほどの、心が丁寧に描かれていると思います。ノワカの事が、あまりにも衝撃的で、あまりにも辛くて言葉になりません。
悲しみに暮れるタオが開けた霊廟の中の柩。
500年の時を経て現れたウトサは怪物か。誰よりも民衆を案じ、国を守ろうとした素晴らしい皇帝。その心は、しっかりとタオの中に焼き付いた事でしょうねぇ。国を思い、国の翳りになりたくないと言ったウトサが怪物なんかであろうか。私利私欲しかなく、人の命を軽んじる宰相の方がよっぽど怪物だと思います。
二人の間に生まれた絆は、短い間のものでしたが、深く確かなものであり、国のために道を別れた事は、たまらなく切なくて涙です。愛情や二人の繋がりが、駆け足感があると言われればそうなのかもしれませんが、共に過ごした時間はあまり気にはなりませんでした。そういう事もあってもいいんじゃないかなと。きっとakabeko作品だから、私には何でもOKになってしまう作者贔屓です。
孤独は心が荒んで蝕まれていくけれど、タオの存在だけがウトサに人間の心を取り戻せるなら、もう離れちゃいけないですね。二人の旅が始まるけれど、これは続くって事でいいですよね?続けて欲しいです。めっちゃ良かった!
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