このレビューはネタバレを含みます▼
蜂蜜ショップで働く清水朋也の元にやって来た営業マン•栗原完治は、謎の生命体の化身であるという少年を連れていました。栗原に一目惚れした朋也には見えるけれども他の人には見えないその少年は、栗原を働き蜂とし、その性行動からエネルギーを摂取し繁殖するのだと言います。自分もゲイだと言う栗原ですが、朋也の好意をわかりつつもアドレス交換は拒否するのでした。
時を同じくしてもう一人の働き蜂•兵藤閑が活動を始めます。兵藤の手が朋也に伸びたその時、栗原が現れて助けてくれるのですが、同時に、働き蜂はエネルギーを確保する時に抱いた相手の記憶を奪うということがわかります。
能力を活かしてドライに楽しむ兵藤と、好きな人に忘れられることに苦しみ、必死に衝動を抑える栗原。やがて謎の生命体の命が尽きる最後の繁殖の時を迎えます。
他に類を見ない設定で、人を好きになるということについて、相手を想うこと、自分の想いを遂げること、どこからがエゴなのか、そのバランスを絶妙に描くファンタジーです。
ここでは謎の生命体が働き蜂となった人間達の集めたエネルギーを搾取するのですが、現実には人間が蜂から蜜を搾取している訳で色々考えさせられました。蜜蜂から家畜、野菜や花に至るまで、当たり前としていることを視点を変えて見ることも時には必要かもしれません。