Dear,MY GOD
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Dear,MY GOD

朝田ねむい

不思議な世界に迷い込んだ気分

2021年8月15日
今まで読んだ朝田作品の中で、一番強烈な世界観かもしれません。2篇収録されていますが、どちらも『神』にまつわる話です。
タイトルに皮肉な感じがしたのは、私だけでしょうか…

1作目は、カルト宗教にどっぷり心酔してしまっている青年・リブと、リブを救おうとする神父の物語です。何度も違う神に救いを求めて、希望を裏切られたリブには、神が全てなんですね。洗脳されたカルト宗教でさえ、妄信的になれば疑いもせず、神というよりは導師の教えが正義であり、絶対的なものであり、それに背く事は罪なようで何も耳に入らない。そういう信者を救う事は並大抵の事ではなく、ロースの献身的な救いは彼に届くのか?
ロースに心を許したリブだけど、やっぱり神を崇めるようにロースを見るリブ。ただ神を信じる事だけで、それが心の幸せであり、安寧の地であるなら、それはそれで幸せなんでしょうけど、社会生活に支障を来たしたり、犯罪を犯罪と思ってない事が問題なんですよね。妄信的ってのが怖いです。
リブに目を覚ますように寄り添って来たロースですが、最後リブの問いかけに一瞬間があったのは考え過ぎでしょうか…
広い外の世界を知って、自分を取り戻せたらいいなと祈るばかりです。
2作目が、めちゃめちゃ面白かったです。これは好きーっ。この2作目が不思議な世界ですけど、いいお話で感動しました。
酔っ払った勢いで鉢植えの花を持ち帰ったリーマン・ハナ。翌朝、目が覚めたらその花が会話をしだして…
いやぁ、これは読んで欲しいです。よく出来た素敵なお話です。ぜひ、ぜひ。カルトの話からこちらに移り、疲れが癒されました。面白かったぁ。
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