おかえりさんかく
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おかえりさんかく

早寝電灯

共感と迷子になった感

2021年8月16日
”そっとしておく優しさ”ってあると思うんです。触れてくれない方がありがたい、関わらないでもらった方が楽、放っておいてほしい…そんな風に思うときに、ズカズカ入って来られると、イラッとするし、面倒くさいし、下手すると傷が深くなったりします。その微妙な距離感てほんと難しいなと、私もよく悩みます。
この3人は、人との関わり方が不器用なのに(不器用だからこそか)、そっとしておくことができない。
描き下ろしの紘記くんと丈は、そういう意味でも、自分本位だなと思うし、正直、作者さんがこの描き下ろしで描きたかったことが理解しきれていないんです。好きな作者さんですが、今回は、その独特な世界で迷子になってしまいました。でも、すごく現実的な3人だなと思って、特に、自分でも割り切れない恋愛感情や嫉妬が絡むと、自分のことで精一杯になるし、視野が狭くなる。だからこそ、突拍子もないように思えることをしてしまったりもするのか…と共感できてしまいます。本編中の3人の心情や行動は、思い当たることもあって少し苦しくなるし、救われるような気持ちにもなります。
個人的には、描き下ろしが無かった方がすっきりした読後だったのですが、会いたくない人に会っちゃったりとか、会っちゃったらスルーできなかったりとか、あるんですよね苦笑。そして、そっとしておかれなかったから動き出すことがあったりするのも確か。
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