おかえりさんかく
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おかえりさんかく

早寝電灯

かなり大人なストーリー(星10)

ネタバレ
2021年8月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ フォローしている方のレビューを見て購入。スゴイ作品に出会ってしまった。これは少なくとも「少女漫画」ではない(いや、BLなんだけども)。かなり大人な関係性が描かれている。
特に、丈とヨリを戻した後の園田とコウキの公園での会話は秀逸。一言一言が重い。孤独や不安やおそれ、迷いがあってこその人生であること、その人生を逃げずに真正面から受け入れること、その気付きと覚悟を共有している。
人間関係はゼロか100かではない。園田さんは恋人にはなれなかったかもしれないけれど、間違いなくコウキの人生の一部で、それはきっと「大切な人」という枠なんだろうと思う。
その枠を広げていくのも、維持していくのも、トライするのもしないのも自分の選択。コウキに出会ったことで園田さんは、自分の人生を自分で引き受けていくことに気付けたのではないかな。
キャラの感情や関係性に、これほどまでにたくさんの層を築いている作品はあまりなく、俄然この作者様に興味が湧きました!!今日は良い夜だわ。フォロー様、ありがとうございます!!
【追記】
他の方のレビューで書き下ろしの意図が理解できない(園田さんへの意見の押し付け的に感じてしまう等)と指摘されていて「なるほど!そういう読み方もあるのか!」と感心しました。
個人的には、コウキにとって園田さんは「自分」を取り戻させてくれた人。足元を見せてくれた人。園田さんにとってコウキは、性的嗜好も含めて「自分の形」を教えてくれた人。自分で自分の人生を引き受ける(能動的に生きる)ことの大切さを気づかせてくれた人、だと思うんですね。
だから、あの出来事は二人にとってとても大切で、第三者が「なかったこと」にできるようなものではない。
そのことを丈も理解している。しかも、そもそも自分がコウキに対して真摯に向き合えてなかったこと、一年半も放置していたこと、コウキは自分を好きでい続けるとタカをくくっていたことが二人を結びつけた原因。
だからこそ、「なかったことにするよりまし」と言っているんだと思うのです。
園田さんとコウキの関係性を尊重するため(だからこそ選択肢の提示のみ)、丈を最低野郎にしないため(恋人だからといって大切な人との縁を切らせる権利はない)に描かれたのが、書き下ろしだったのかなと思いました。
ここまで書いて、自分が思った以上にこの作品にハマったことに気付きました。長文マジこわい。笑
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