ふるえる夜のひみつごと
」のレビュー

ふるえる夜のひみつごと

小椋ムク

くるまれる

2010年8月1日
発売時、とても話題になっていた作品でとても気になっていました。

か弱き者への、やさしい目線、全てを包み込むやさしさで描かれた作品集。
心の痛みをとても敏感に感じとる作者さまなのだろうと、これまでの配信作品も含めて実感いたしました。

「ふるえる夜のひみつごと」
3話目の終わりからから泣いてました。環境にも人にもなれず、小さくふるえる姿を見守っていました。
光りが苦手な男の子と暗がりが苦手な男の子。高校生になっても癒えないトラウマを、深い友情と愛情にかえてゆきます。

「ただ、君を待つ」
秘密を知っているのは、主人公と読者だけ…。ほほえましくも、少しのもどかしさに焦らされました(笑)。
やむにやまれずニートとフリーターになってしまったふたりの、ちょっとおかしな逢瀬。

「ラ・ラ・バイバイ」
ふたりのつたない歌も、たりない言葉をうめさせる無意識のスキンシップも、そんなキスも好きでした。
人前では喋らない先輩が、学校の屋上では歌っていた。屋上では、少しずつ自分に話しをしてくれるように…。

「ヒナの純情」
すこし壊れたような怖さと、無意識に押さえつけられたような淫らさに自然と惹きこまれ、桃色に染まる肌にそそられます(笑)。
誰も居ない教室で、図書室で、生徒は誰と言葉を交わす…?!

「あとがき」
ふるえる夜とヒナのその後があります。
超短編ですがこちらもオススメです。
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