神様はじめました
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神様はじめました

鈴木ジュリエッタ

面白い

ネタバレ
2021年8月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ こういうのは、入り込めない人は、可哀想だけれど入口で引き返すのだろう。私は楽しんだ。全25巻(除13.5巻)、2008-16年作品。
趣向が近い作品は飽きたと感じ、個々別々に捉えない人が世間には居るだろう。そうなると例えば吸血鬼物は沢山あってはいけないのか?私はロマンス物は何かが被っても何冊でも読む。
態々比較を楽しみに「セーラー服にお願い!」(田中メカ)を事前に読了。

但し、先駆的独創的なアイディアを臆面無く拝借して、恰も自分の思い付きのように振る舞うのは確かに違う。それは今米国流行語の「盗用」とそしられるかもしれない。だが七人の侍あってのヒット映画も事実多数生まれた。

弁護しておくが、この作品は話の筋に独自の面白さがあって、至るところ先の読めない展開や自由さが最後まで私を楽しませた。
その世界を描く絵で、鈴木ジュリエッタ先生のイマジネーションのぶっ飛び具合を面白がらせてくれる。当方の神様像に収まっていない。
奇想天外、というには彼らの理屈と関係性に読み手が共有できる価値観投影があり、それでいて人気作品がよく持つような、どこへ連れていってくれるか分からないのにつきあってみようという乗り、いい意味で奔放さがある。
そこに見え透いた引き延ばしを感じなかったのもよい。
悪人の悪役ぶりは強烈で、そこは長編の中で、ありがちな善人化もあるので、やったこととのバランスは取れてたとは思えない。ヴォルデモートばりの執着。
古代神話だって聖人ばかりではない訳だから、本作も非道の妖が跋扈してダークモードを盛り上げ、勧善懲悪で片付けられない部分を残す。それでも、巻数を重ねることで、関係性の変遷が無理感低めになった。

主人公菜々生の境遇は幼少期の薄幸ぶりに同情を誘うような設定となっており、だからこそ仲間や友だちが出来たことなどがドラマチックになる。ただイジワルに見れば、そこにイヤらしさも僅かにある。
フルーツバスケット(高屋奈月)を連想する冒頭だ。

11巻、ベタに胸が詰まった。
12巻、裏嶋小太郎君は右足が全治2週間?、左足?。
20巻はなかなか印象的なのに、21巻で暗転多少強引。終わりを見据えての、物語全体のクライマックス配置かと思うが、毛玉、夜鳥、黒麿の役割もう少し分かりやすくして欲しかった。香夜子も忘れた頃に顔見せ申し訳。作中の人物達間は「決して忘れない」と何度も言わせておき乍ら。
22巻と24巻は良かった。
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