このレビューはネタバレを含みます▼
『恋まで百輪』のスピンオフ、虎二の兄•鷹尾と譲とのお話。この後『悪だくみにも花はふる』へと続きます。
茅野譲は中学生の時に､傷だらけの高校生•小山鷹尾と出逢います。譲の咄嗟の思いつきで家庭教師をしてもらうことになった鷹尾は、顔と頭が良く、性格と視力が悪く、お金が大好きでした。そんな鷹尾に惹かれた譲は、いつか鷹尾を迎えに行く為にとデイトレで巨額の財を築き､弁護士となった鷹尾との偶然の再会からアプローチを重ねてゆきます。
悪人というのか鷹尾の性悪っぷりは大したものですが、惚れた弱みでそれらを全て受けとめる譲の一途さも負けてはいません。両親に捨てられ、自分も弟妹を捨て、結婚も上手くいかなかった鷹尾が、紆余曲折を経て譲を信じ､心の全てを委ねるようになるまでが描かれます。｢執着｣を｢好き｣と言い換えていた二人が、｢好き｣や｢愛している｣といった眩しく輝かしい想いを夜のパレードに託し、まだ少し遠い所から並んで見ている『ナイトパレード』のラストシーンが心に響きます。
ストーリーが細部までよく作り込まれていて､最後までじっくりと楽しめました。
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